債務整理コラム

「借金のピンチをチャンスに」その1

「ピンチをチャンスに変える」は昔からよく言われているフレーズです。しかし、それを実践できている人と言うのはほとんどいないのではないでしょうか。 借金の返済に行き詰まることは一種のピンチです。しかし、そのピンチを乗り越えて人生の躍進に至るためのチャンスに変えられた人も時折見受けられます。

Aさんは30代後半の女性です。Aさんは30歳頃に子どもを産んでまもなく旦那さんが病気にかかり、その後母子家庭としての生活を余儀なくされていました。昼間はパートタイマーで働き、夜になると子どもの面倒をみたり、家事をしたりと休む間もない日常だったようです。また、生活もあまり裕福とは言えないため、時折消費者金融からお金を借りては爪に火を点すような節約をしたり、パートの掛け持ちをしたりしてその返済に宛てると言った暮らしぶりだったようです。

しかし、同じような行動を繰り返していても、借金はほんの僅かな返済の遅れであっという間に金利が付きます。またパートタイマーの仕事はどれだけ長く働いたところで、なかなか給与が上がることはありません。このため、Aさんの生活は借金とその返済を繰り返すばかりで次第にジリ貧になりがちな面がありました。また、本人いわく、そのために近所の人々からや子どもの同級生の母親からも貧しい家庭として蔑みの目で見られたことが一度ならずあったようです。しかし、気丈なAさんのことですから、そのような他人の目は気にせず、懸命に仕事に励んでいたのです。

そんなAさんにある日転機が訪れます。急な養育費の入用がきっかけで借金の返済がままならなくなってしまったのです。計算をしてみると数ヶ月ならばぎりぎり生活はできるようです。しかしその後はどうしても返済ができなくなります。このままでは破産すると言うことは、まじめなAさんにとっては到底受け入れがたい事実でした。このため、Aさんとしてはすべての返済プランを自分なりに変えてゆくことを計画してみたのです。

しかしそれは無茶と言うものでした。借金の返済時にのみ増やしていたパートをさらに増やし、週に2日は徹夜。誰が考えても体力的にも精神的にも無理なものです。それどころか働いている最中に倒れてしまって借金の返済どころか、生活もできなくなってしまいます。それでもAさんとしては他にプランが思い浮かびません。結果、Aさんとしてはパートをさらに増やすべきか否かのところで思考がいったりきたりするばかりで、新たな行動に着手できない状況に陥ってしまったのです。

さらに悪いときには悪い状況が重なります。Aさんが借金の返済で一人思い悩んでいたあるとき、子どもが暗い顔でふさぎこんでいることに彼女は気づきました。Aさんはその理由を子どもに問いただしましたが、子どもは嫌がって口を開きません。それでもかなりきつく問い詰めると、子どもはとうとう重い口を開きました。 「家が貧しいから、いじめられた」 その子どもの言葉にAさんいわく、まるで金づちで頭を殴られたような衝撃を受けたそうです。

Aさんは自宅の壁に背をもたせて泣きました。膝を抱えてさめざめと泣きました。様々な思いがまるで走馬灯のように脳裏を駆け巡ります。早くに失った旦那さんが悪いのか、再婚相手を見つけなかった自分が悪いのか、賃金を上げてくれない雇用先が悪いのか、学校の子どもたちやその両親の躾が悪いのか。悪いのは誰だろう。どうして自分はこんな状況に陥らねばならないのだろう…。

そうして延々と悩み続けたその挙句、ついにAさんはひとつの結論にたどり着いたのです。それは『誰が悪いかなんて、そんなことでうじうじと思い悩んでいても仕方がない。お金がないことを解決することが何よりも大切なのだ』と言うことでした。

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