債務整理コラム
不当な要求に関わらない
債務者が借金を滞納した場合、消費者金融や債権回収業者(サービサー)が取立に訪れます。威圧行為や脅迫などは法的に禁じられているものの、直接的な威圧ではなくとも、彼らは必要以上に執ような嫌がらせを行うこともあります。
例えば以前、ある女性が借金の返済を遅らせてしまったことがあります。そのとき、女性は返済の遅れに気づくが早いか自分から消費者金融に電話をして、コールセンターの人間に「お金がないわけではなく、どうしても急用が入ってしまったために返済が遅れてしまった。明後日には必ず振込を行う」と告げたのです。コールセンターの方でも「明後日ですね。分かりました」と言って電話を切りました。
ところが次の日、女性が会社から帰宅するや、同居している姑が鬼のような形相で「今日、家に取立屋が来た」と女性に詰め寄り、借金について問いただしてきたのです。女性としては「約束が違う」と怒り狂い、消費者金融側に電話しました。しかしコールセンターの人間は先日とは違う担当者が対応にあたり、かつ、その言葉も「取立の部署とコールセンターとでは連絡が行き違うことがあります。そもそも支払いを滞納したそちらが悪い」と言い張って譲りません。女性としては家庭内の面目が丸潰れになってしまいました。
上記は本当にあった話です。取立をする側は債務者の都合などはまるで考慮に入れません。彼らとしては事務的にお金を回収できればそれで自分の業務が終了するためです。
さて、以前にも申し上げましたが取立を行う者の中には悪徳な者がいます。ただし、ここで言う「悪徳」とは合法とも非合法とも言い切れないものです。その理由は少し考えてみれば分かるはず。例えばある債務者が借金を滞納し、生活費にも事欠く状態だったとします。それでも消費者金融側としては何としてでもお金を返してもらわねばなりません。そうなると何時間でも強い口調で迫ったり、諭したり、情に訴えたりと様々なやり口で相手を説得することになるのです。この「説得」とは何か。お金を作ってもらうことです。そしてお金がないのであれば働いてもらわねばなりません。
取り立てる側としては「働く」ことを強制することはできません。法によって規制されているためです。このため、取立屋としては借金の回収ができるようになるためには、何時間でも何回でも債務者を訪れて取立を行うことで債務者を精神的に圧迫し、債務者が自ら「じゃあ働きます。いつまでに幾ら作れるように」と言うまでゴネ続けなけれならないのです。
このため取立屋の考えは「割が良く、素早く借金を回収できる業務」に債務者が就いてくれることを願うと言うものとなります。この結果、取立屋の中には例えば風俗店や建築現場から何十%と言うマージンを貰い、そのかわり、債務者に「すぐに借金が返せる仕事」と言うものを『提案』すると言う流れができあがるのです。
ただし、借金を負って働かされる場所と言うものはいわゆるタコ部屋労働に近いものが多いのが実情です。押入れの中のようなスペースで寝泊まりをし、カップラーメンやらケタオチの仕出し弁当やらのみを食事として提供され、半分軟禁状態にされることはよくある話。さらに、一日の働き賃数千円の中から、食費千円・宿泊費三千円などを求められ、さらに残った金額から借金分を引かれるので、ヘタをすれば半永久的に閉じ込められるようなかたちにもなりかねないのです。
とは言え、ヤミ金の一部には存在するものの、正規の消費者金融でここまで悪どい取立屋はごく稀にしか存在しません。それでも、これに近いような労働を唆されることは珍しくはないのです。債務者の借金の返済が滞ることと、取立屋の個人的な収入のために人生を棒に振ることはまったくの別物なのです。不当な要求には断固として「ノー」を突きつけること。そこで問題が発生したのであれば、当所に無料相談をするなど、専門家に対策をすれば即座に問題は解決するのですから。