債務整理コラム
借金による家の喪失は凋落の転機
当所では「借金が返済できないとどうなるか」について繰り返し繰り返し、さながら声が枯れるほどに説明をしてきました。それでも返済も債務整理も行わず、借金を放置している人は後を絶ちません。
借金が膨らむとどうなるか。まずカードが止められます。携帯電話なども持つことができなくなるでしょう。また、水道・ガス・電気などが止められます。ガス・電気と比較すると水道はライフラインの最たるものとして少しばかりは猶予が認められますがそれも時間の問題です。またこれが支払えないと言うことは家賃の支払いも当然できないことを意味しています。管理会社や大家などが日々督促に来る中、真っ暗な部屋で居留守を使うのはさぞかししんどいことでしょう。強引な大家であれば法的な規制はともかくも、合鍵を使っていきなり部屋の荷物を表に放り出す可能性もあります。
さて、家を放り出された後はどうなるでしょう。寝泊まりができない状況で会社に勤めることが可能でしょうか。不可能ではありません。まんが喫茶などに寝泊まりをしながら会社に勤めると言うかたちです。ただし、郵便物などを届けることはできないため、遅かれ早かれ会社に勤めることは厳しくなるはずです。もちろん知恵を振り絞ればもう少し何とかする手段もあるかもしれません。例えば東京や大阪のような大都市には半畳で一万円のような住民登録専用の建築物も存在します。法律の上ではそこを居住地にし、実質はまんが喫茶で寝泊まりをして会社に勤める。そういう手段もあるかもしれません。しかし、日々膨らんでゆく借金を抱えたまま、所持金数百円で会社に勤め、退社後、クタクタになった身体を引きずってまんが喫茶で寝泊まりをする生活をしながら、今度は仮想の居住地を作るために住民票を移動する元気が債務者にあるとは思えません。また、会社勤めが続けば債権者は当然、給与の差押えも行ってくるため、まともな生活は期待できないのです。
また、このような無理のある生活は当然身体によからぬ影響を及ぼします。ある日突然体調不良に見舞われたとしましょう。出勤できる体調ではないにも関わらず、病院で診察して貰うお金ももちろんない。契約社員やアルバイトであれば健康保険料も払っていないかもしれません。このようなとき、誰が診察料・薬代を捻出してくれるのか。ヤミ金と思った方は間違いです。ヤミ金は携帯電話も持っていない人を相手に融資は行いません。借金まみれで誰の信用も喪失しているとわかっているためです。となると、当然まんが喫茶に払えるお金もなくなってしまいます。
そうなると、ここから先はホームレスです。夏は熱く、冬は寒い。ダンボールをズルズルと引きずりながら、生きてゆくためにカギのかかっていないゴミバケツを開いてはまだ傷んでいない生ゴミを拾わねばなりません。ここまで来ると再起はもはや絶望的です。なぜなら国民として権利を主張するための基本的な書類を自力で揃える時間も費用も体力ももはやないに等しいためです。また、よしんば国家に所属している国民として権利を主張するのであれば、それは同時にこれまで放置し続けた税金・借金をもう一度背負うことを意味しています。
借金の返済を放置すると言うことは即ちこういうことなのです。ホームレスになっても生きてゆくことはできるでしょう。しかしそれは、その人が心から望んだ人生なのでしょうか。
肝に銘じておいてください。借金を放置している人の胸の内には、家をなくし、家族をなくし、社会のありとあらゆるものからの信頼を喪おうとする種が芽吹きつつあると言うことを。地べたにダンボールを敷いて眠り、一ヶ月も風呂に入らず、生ゴミを漁る日常を。借金を野放しにすると言うことは、そう遠くはない人生の終わりの日が来るまで、次の日もその次の日も繰り返し続ける生活の種が芽吹きつつあることと同義なのです。
借金が返せない。しかし債務整理もしたくない。その答えが住居の喪失です。とても厳しい話かもしれませんが、借金を滞納した場合では十二分にあり得る話なのです。返済ができないのであれば債務整理を。社会的な再起を願う心がひとかけらでもあるのであれば、それを行うことだけが唯一の正しい道だと断言いたします。