債務整理コラム
金融詐欺のマジックショー
金融詐欺が後を絶ちません。架空の社債やIPO詐欺、架空の不動産投資や事業再生、イラクディナールのように日本円にできない為替での投資話など、次から次へと枚挙にいとまがない状態です。
事件は警察力で未然に防げなくなった場合、ニュースにて流れます。今回も金融詐欺が大きく広がったためにニュースでは詐欺の手口や意味を解説して注意喚起を促しつつ、被害状況を説明しています。ですので視聴者からすると「こんな詐欺に引っかかるなんてばかだな」と思うかもしれません。
しかし金融詐欺には一種のマジックショーのような面があり、タネを明かされない間は、狐につままれたような気持ちながらも思わず惹きつけられる雰囲気があるのです。たとえばイラクディナールの詐欺。これは湾岸戦争の煽りによってイラクとの通貨交換が滞っている時期を狙い、イラクディナールなどの高金利通貨の購入を持ちかけることで通貨詐欺を行った手口です。これだけ聞くとうさんくささの塊のようにも思えますが、現在ではイラクディナールは通貨レートとしてしっかりと機能しています。また普段あまり耳にしない香港ドルやシンガポールドルの外貨はもちろん、政情が不安定なエジプトや南米・アフリカなどの通貨でも日本円との換金は問題なく行えるのです。
こう考えるとイラクディナールの通貨交換それ自体は問題がないことが伺えます。さて、実はここに至るまで詐欺のキモとなる部分には触れませんでした。この詐欺の中心となる部分はイラクディナールとの換金レートの高さです。H25年5月の時点でイラクディナールを日本円に換金した場合、約25000イラクディナールで概ね二千円前後のレートとなっています。しかしイラクディナール詐欺の場合はレートが約7000〜8000円の暴利。このため、換金時には大損をしますし、換金を願っても詐欺グループからは断られると言った事態に陥っていたのです。
サラリーマンとして毎月の稼ぎを得てそれだけを収入手段としている人にとって、投資話はまるで興味を持たないうさんくさいものと思われるかもしれません。しかし、株式やオプション・為替などを取り扱っている人々からすると投資と言うものはうさんくさければリスクは高く騙される確率も高くなるかわり、もし儲けられるのであればそれは大変なリターンになりやすいと言う側面があるのです。このため、朝から晩まで目を皿のようにして儲け話を探している投資家たちからするとイラクディナールの話は耳を傾けるに値したのかもしれません。またイラクディナール詐欺の場合、インサイダーなどの不法な手段で儲けた投資家たちが当局からの捜索から資金を隠す手段の一つとしてイラクディナールをもちかけられたと言う面もあります。
さてこのように、ニュースで放送されるとさも怪しいように思える投資話でさえ、その仕組みをきちんと説明されると、様々な理由から思わずその内容を信じこんでしまう人がいることがわかりました。彼らを非常識だと思うでしょうか。現代の尺度に照らせばそうかもしれません。しかし、たとえば騙された人が高齢者だったらどうでしょう。戦中に少年時代を過ごし、戦後の転換期とともに十年単位で髪型も音楽もファッションも、思想や経済に至るまで大きな潮の流れが変わってきた日本国では、そこに住まう人にとっては今や何が常識で、何が非常識なのか尺度と言うものは存在しない可能性だってあるのです。
確かに人の価値観はさまざまです。最新流行のおしゃれな服を着ていれば誰もが羨ましがるわけではありません。古くとも格式高い和服を好む人だっているのです。また高いブランド品をことさらに嫌う人々だっています。このような価値観の多様化の中では、まさに今述べたようなイラクディナールのような、あからさまにおかしな話が通ることも少なくないのです。
今の時代、何が詐欺かもわかりません。知識のない人からすると金融詐欺のように見えて実はそうではなく、逆に詐欺のように見えない詐欺が横行している事実もあるのです。だからこそ、たとえばヤミ金やパチンコ攻略法などのような、金融詐欺かなと思えるような事態に遭遇した際には、まずは当所の無料相談にて問い合わせをしてみてください。