債務整理コラム
なぜ返済しているのかを見なおしてみる1〜借りられないとはどういう意味か〜
お金を借りたら返済をする。誰もがそう口にします。その点については、月々の借金を頑張って返済している人でも、どうしても返済できずに滞納してしまっている人でも、やはりどこか意識の片隅に思いが常に置かれていることでしょう。
銀行員であれ、サラ金であれ、債権回収業者であれ、取立・督促を行う際には「貸したら返すのは当然のことでしょう?」と述べてきます。この言葉は債権者にとって何よりの強みであり、この言葉を債権者が受け入れるかどうかで債権者は今後の対応を決定します。実際、債務者としても債権者からそう言われるとなかなか返事がしにくい面もあるはずです。しかし「貸したら返す」のはなぜなのでしょうか。当たり前と言えばそれは確かに当たり前かもしれません。しかしその当たり前の理屈についてきっちりと説明できる人はそう多くはないはずです。人によってその理由は様々かもしれません。しかし一般的にその理由を考え、自分なりに突き詰めてみることは大切です。
金融機関と一言で言ってもそれらには幾つもの種類があります。アコムやプロミスのようないわゆる消費者金融・サラ金からはじまり、銀行・信用金庫、世間にはあまり関わりないものとしては日銀、多額のお金を扱うのであれば投資銀行・ヘッジファンドなどと言うものもあります。債務者の中にはヤミ金を金融機関とみなすところもあるかもしれません。
市井に生きる我々にとって日銀やヘッジファンドはさほど関わりがありません。そのため、一番大きな金融機関と言えば銀行が挙げられるはずです。会社からの振り込みや各種料金の引き落としなど、私たちは日々あまりてらいもなく銀行を利用しています。しかしいざお金を借りる段で考えてみると銀行は非常に精査の厳しい金融機関です。たとえ一円だってなかなか貸してはくれません。逆に言えば銀行から審査を受けて融資が降りるのは社会的に信用が高い証でもあります。会社のホームページを開きますと主要取引銀行の名称が出てくるところが少なくありませんが、これはこれらの銀行が会社の業務内容や財務状況を精査して問題ないために融資を行なっているので当社は信用ができますと言うことの証でもあるのです。
モビットやアイフルのような消費者金融、いわゆるサラ金は個人が利用する金融機関です。このため、銀行ほど審査は厳しくありません。仕事帰りのサラリーマンが飲みに行きたいけどちょっと手持ちがないと言うときに利用することもあり、借りられる額も銀行ほど大きくはないかわり、手軽にキャッシングできるものでもあります。これらは銀行と比較すると圧倒的に金利が高くなります。その理由は銀行と比較すると、債務が返済できなくなる人が圧倒的に多いためです。要するに滞納して返済できなくなる「どこかの誰か」の分をまじめにこつこつ働いて返済している人が肩代わりをしているのです。また返せなくなる人が多い分、サラ金の取立は非常に厳しいのが特徴です。武富士の件で有名になりましたが、貸金業法が改正される前などは取立屋は脅し同然の暴言を平気で吐き散らかし、何時間でもごね続けていたのです。
サラ金の場合、返済ができなくなるとCICやSTARSなどのいわゆる信用情報機関に事故案件として記載されます。これがいわゆる「ブラックリスト」ですが、事故案件と言うものは一口で言っても色々な程度があるのです。たとえば電気料金や携帯電話料金の引き落としができないなどと言う場合であっても一応は「事故案件」です。しかし連絡が来てすぐに振り込みを行えば即座に抹消されるような類であれば、心配には及びません。逆に借金を何ヶ月も放置していたりすればそれはいわゆる「ブラックリスト」として登録され、銀行・サラ金からの融資はもちろん、クレジットカードなども利用停止にされてしまいます。ただし、これらも保存期間があるため、数年ほど時間を置けば再度利用することが可能となります。
では、ヤミ金はどうでしょう。多重債務者の中にはヤミ金を金融機関とみなしている人が少なくありません。しかしヤミ金とはサラ金に見せかけた犯罪組織です。取立と言いつつ、恫喝・脅迫を当たり前に行います。殺人をほのめかしたり、家族や勤め先に危害を加えるような行動も平然と行います。また、ヤミ金の特徴として約束通りに返済をしても完済できないことが挙げられます。要するに幾ら返済しても「まだ足りない」とか「約束した金利に延滞料が付いた」などと言って繰り返しお金を巻き上げ、結局のところ家族や勤め先に嫌がらせが始まるため、返済しようがしまいがどの道、債務者の人生はめちゃくちゃにされてしまうのです。