債務整理コラム

なぜ返済しているのかを見なおしてみる2〜恐怖は返済の理由にならない〜

サラ金からお金が借りられない。債務者自身はなかなか気づいていないようですが、この状況に陥った時点で社会的な信用は既にゼロです。なぜならサラ金からお金が借りられないと言うことは遅かれ早かれ家賃や電気・水道料金・税金など、我々が生きてゆく上で必ず支払わねばならないお金がもはや払えないことを意味しているからです。もっと単刀直入に言えばこれらのインフラ料金が払えない状態と言うことは、これはもはやホームレスに限りなく近い状態であり、戸籍は存在するけれど、国民として存在しているのかどうかも定かではない事態だと言えるでしょう。

これはゆゆしき問題です。たとえば会社員が財布を落としたとして交番を訪れ、電車料金を貸してくれと言えば警察は身元証明と引き換えに電車賃を融通してくれます。これは警察内でそのような取り決めがあるためです。しかしホームレスが交番を訪れて電車料金を貸してくれと言ってもけんもほろろに追い返される可能性は否定できません。つまり、国家がその人をもはや一人の国民としてみなしていないも同然なのです。

ともあれ、話を戻しますと「借りたから返す」のは社会的な信用の喪失を回避したいことが理由となります。わかりやすく言えばお金を貸すと言うことは暗黙のルールとして「同じ社会に生きる仲間だから」と言うことなのです。だから、サラ金はよほどの信用がない限り、他の国の人にお金を貸したりはしません。暗黙のルールとして同じ社会に生きる仲間ではないからです。

ヤミ金はこの暗黙のルールを逸脱した人を相手にお金を貸しています。これはつまり「人に悪いことをしたらごめんなさいと謝りましょう」とか、恩義を受けた人にはお中元やお歳暮で恩返しをしましょうと言うようなルールが存在せず、それどころか法律を守ることもできない社会の暗部にいる人にお金を融通することを意味しているのです。さらに社会的な信用を喪失して、ヤミ金から借入を行った時点でヤミ金は債務者が絶対に返済できないことを最初から理解しています。これを無理に取り立てる方法は一つです。それは債務者に対して暴力の裏付けによって恐怖を与えること。

ここまで述べると「借りたから返す」の裏にある意味がうっすらと理解できることでしょう。借りたから返すのは社会的な信用の喪失があるためです。同じ国民として暗黙のルールが守れなくなることを恐れて借金の返済をするのであれば、それは正しい理屈だと言えます。しかし暴力の裏付けによって「怖い」ことが理由で返済をするのであれば、これはもはや返済する理由にはなりません。単なる恐喝です。

今多重債務に陥っている方やヤミ金から借入をしてしまっている方は「なぜ」借りたお金を返さねばならないのかをしっかりと自問自答すべきです。返済をすることで将来に対して希望の糸口が見えるのであれば、毎月頑張って働いて返済をすることは良い将来につながる道の一つだと言えます。しかし、たとえばA社に対して本日返済をして、三日後にB社に返済をしなければならず、そのお金がどうしても工面できないと言うような場合にはそれはもはや希望に満ちた未来のための借金返済ではありません。ましてやヤミ金から借入をするような事態であれば、これはいずれ近いうちに家族や勤め先にヤミ金から連絡が入り、脅す喚くの恫喝が始まるのですから破綻は免れないのです。

そう考えると、大切なことは多重債務の返済日やヤミ金からの暴力を恐れることなく、さっさと問題を処理した方が希望ある未来につながります。とくにヤミ金の場合、怖いことを理由に返済を繰り返してゆけば、ヤミ金はそれに味をしめてますます「怖さ」を売りに取立を強めてきます。

それが最終的にはどうなるか。やがてはヤミ金対策への連絡を取ることも厳しくなるような極限状況へと事態は推移します。たとえば粗悪な飯場に連れてゆかれて日がな一日強制労働を送らされたり、ひどい場合ではボロ船に載せられて国外に連れてゆかれ、得体の知れない治験を受けさせられたりすることになるでしょう。女性ならば劣悪な環境の違法風俗で何年も働かされ、希望ある人生どころか、麻薬漬けにされたり、身体がボロボロになるまで働かされる可能性も高いのです。

繰り返します。「なぜ」今、返済をしているのかを突き詰めて考えてみましょう。もし借金の返済ができないのであれば、国民の安全と財産を保護している法律の後ろ盾をしっかりと利用して破産してしまうほうがずっと良いのです。国は債務者の生命・財産と希望ある未来を様々な手段で保証してくれます。この点を忘れることなく、自分の未来をしっかりと見つめてみることが何よりも大切です。

ページの一番上へ