債務整理コラム

債務整理後の生活は、債務整理前の誰しもが懸念する

●自己破産のネックは「響き」の悪さだけ

債務者のほとんどは債務整理をした後、生活はどうなるのだろうかと心配をします。とくに任意整理のように支払いを繰延したり、金利をカットしたりするだけならばまだしも、自己破産をする人の心配の仕方は途方も無いものです。とは言え、それもさもありなんと言うものです。自己破産のように大きな債務を一度になくしたのであれば、どのようなペナルティになるのか想像しにくいはずですから。

結論から申し上げますと、当所では自己破産を勧める場合「今よりもずっと生活が良くなります」と答えます。もちろん何をもって「良い」とするのかは人それぞれですが、一般的には生活環境全般を指すものでしょう。実際、自己破産を行った多くの元債務者が「前よりもずっと良くなった」と断言しています。

その理由の一番となるものはもちろん、借金を返済しないで済むと言う、金銭面の負担が消えることが挙げられます。またそれに伴う精神的な解放感や、時間に余裕ができることなども理由として挙げられることでしょう。

返済できないほどの借金を負っている間と言うのは不思議なもので、建設的な意識がまったくと言って良いほどなくなってしまいます。もう返済できないのに無理やり働いても仕方がないとばかりに朝からパチンコ屋に並んだり、外に出るお金もないので日がな一日スマートフォンやテレビを眺めてごろごろしたりと言うような生活になりがちなのです。

しかし自己破産をすれば、その後は働けば働いた分だけ自分の収入になります。誰からもお金を奪われることはなくなるのです。その喜びをはっきりと実感できると、自己破産を行ったことで人の何倍も働く意欲が湧いてくるようなのです。

時間的な余裕も加わります。多重債務者の状況でもギリギリで自転車操業をしている人であれば、毎月月末頃、サラ金のATMめぐりを繰り返していたと言う人もいることでしょう。自己破産をすれば、このような心配からも解放され、あくせくせずに済むのです。

自己破産の一番の問題点はその「響き」にあります。これは邪推かもしれませんが、他の債務整理と違って自己破産の響きだけ極端に悪いのは、そのメリットが大きいために債務者が手軽に利用できないよう、金融庁などがその名称を保持し続けているのではとすら思ってしまうのです。

●破産で奪われるものなど、何もない

自己破産をする段階では、多重債務に陥った人の多くはその日の糧を得ることすら苦しいはずです。それに引き換え、自己破産で清算されるものは高級外車や不動産・絵画・宝石など、いわゆる「ぜいたく品」です。その日の生活にも困っている人が、不動産やら宝石やらを後生大事に貯めこんでいてもどうしようもありません。

一方で自己破産を行なっても100万円未満の現金や冷蔵庫・パソコン・家具などの生活必需品はすべて残されます。これは極端な話、お金がなくて生活に困っている人が自己破産を行なってもほとんど何も清算されずに済むと言うことでもあります。

ただ借金だけがなくなって、生活は今まで通り。これほどまでにメリットが大きな債務整理なのですから、自己破産と言う悪い響きを残すことも何となくうなずけてしまうほどの「裏ワザ」だと言えます。

●視点を高く持とう

もちろん、自己破産を行うことで何もかもが思惑通りにゆくわけではありません。たとえば「自己破産後にスマートフォンを買いたいのだけれど、分割払いできるかな」と言うような質問を受けることがあります。結論から言えば携帯電話会社によってその基準は異なるため、破産直後は無理であっても数年経てば可能かもしれません。

ただし、当所が申し上げたいのはスマートフォンが手に入るのかどうかではありません。「自己破産と新型スマートフォンが同じレベルなのでしょうか」と言うことです。新型スマートフォンを買うためだけに脂汗を滴らせながら借金の取立から逃げ回ると言うのはあまりにも愚かな話です。

自己破産を行えば生活がガラリと変わります。連帯保証人として降って湧いたような借金ならばいざ知らず、多重債務で借金の返済に四苦八苦しているような人であれば、まるで目の覚めるような爽快感を覚えることでしょう。

自己破産を行うことで人生の何もかもが良い方向に変わります。悪い方向に変わるのであれば、当所としては自己破産をお勧めしません。だからこそせっかく良い人生へと舵を切ったのですから、スマートフォンが買えるかどうかなどと言うような低い視点ではなく、今まで以上に発奮して、今度は成功者への道のりへと人生を変えていって欲しいと切に願って止みません。

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