債務整理コラム
天網恢恢疎にして漏らさず 1
当所で債務整理を行った債務者のほとんどが、その後、しっかりとした人生を送っておられます。これは当所が自負している事柄のひとつ。当所の所員の全員が、債務者の立場になってどうすれば人生を再建できるのか、借金の負担を減らせるのかを考え抜くからこそ、債務者の方も当所を信頼してくれていると言う一つの証だからです。
相手の立場に立つと言うことは、言い換えれば相手を我が身も同然に大切に扱うことと同じ。本当に人生を再建するため、当所は死に物狂いで努力しますが、債務者側にがんばろうと言う気持ちがまったくなければ、当然、債務整理だってうまくいきません。そのため「本当に借金を減らしたいのですか」と歯に衣着せずに厳しく諌めることもあります。ましてや「目先の借金さえ何とかすれば、後はどうにでもなるだろう」と言うような甘い考えでいる人に対しては、ときにピシリと言うことすらあるのです。
しかし、これらはすべてお客さまのためです。世の中には、たばこのせいで肺がんになる人がいます。しかし病院でそれを治療したにも関わらず、また肺がんになったらまた治療すればいいと、退院直後にすぐにたばこを再開する人もいるのです。同様、そのような甘い考えをもって債務整理を行う人も、ごくごくまれに見受けられます。
当所では時折、連帯保証人となった人から債務整理の相談を受けることもあります。連帯保証人となる方の事情は千差万別です。親の借金・子の借金の保証人となった人、共同事業者として連帯保証人に名を連ねる人、友人・知人から頼まれて断りきれずに名前を貸す人など様々です。ただ、彼らのほとんどは自分にとってけして利益になるわけではなく、好意や善意によって債務者に名前を貸していることが多いのが実情です。
このような連帯保証人が債務整理の相談をしにくると言うことは、債務者が借金を返済できなくなったと言うことを意味しています。しかし、連帯保証人とは違って債務者が返済できないパターンは必ずしも善意であるとは限りません。
本来ならば返済できるにも関わらず、債務者が遊興費として借金を費やし、連帯保証人である相談者に負債だけを押し付けてきたと言う話も、ときに見受けられます。このような場合、連帯保証人の側も、ちゃんと借金を返済してくれと債務者に言いに行きますが、大抵、債務者側は開き直ってしまい、怒鳴る・喚くを繰り返して話にならなくなってしまうようです。
そもそも、連帯保証人と言う制度は数ある金融の法律の中でも、とくに厳しいそれだと言えます。Aさんが10万円の借金をして、Bさん・Cさんが連帯保証人になった場合、もしAさんが借金を返さなければ、Bさん・Cさんはそれぞれ10万円ずつを返済しなければなりません。折半として5万円ずつではないのです。
また、Aさんが宝石やら不動産やらの資産を持っていたとしても、Aさんが返済をしない限り債権者はそれを差し押さえたりはせず、すぐにBさん・Cさんの方へと請求先を変えてしまいます。Bさん・Cさんはそれでも債権者に対して文句を言うことはできません。
多くの人はAさんが10万円の借金をして、Bさん・Cさんが連帯保証人となったのであれば、それぞれが5万円ずつ返済をすれば良いと考えるでしょう。また、Aさんが資産を持っているのであれば、Bさん・Cさんに取立を行う前にその資産を差し押さえるべきだと考えるのもごく自然なことです。
しかしそれは「連帯保証人」制度ではありません。「保証人」制度です。連帯保証人と保証人とではその効力が全然違います。その点を一般の人はあまり知りません。
法律的に見れば連帯保証人と言う制度を精査せずに一筆書いてしまった相談者にも責任がないとは言えないかもしれません。しかし法律を熟知していない一般人である以上、当所からすれば気の毒と言えば実に気の毒です。
では、開き直って返済をしない人はどうなるかご存知でしょうか。このような人だけがうまく逃げ切って高笑いをするのでしょうか。そうではありません。人に借金を押し付ける人の末路は大体決まっています。