債務整理コラム

多重債務者の傾向と反転現象

多重債務に陥りやすい人には一つの傾向が見られます。それは甘い話に極端に弱いこと。
いかなる物であれ、値段と質は比例します。100円のボールペンよりは、10000円の万年筆の方が書き心地は良いですし、一本200円のワンカップ酒よりは、一本5000円の日本酒の方がやっぱりおいしいのです。もちろん、そこらにある一杯800円のラーメンよりもおいしい500円のラーメン屋もありますが、それはあくまでもその値段内の店主の努力であって、誤差の範囲内と言えます。

多重債務者はこの500円のラーメンを血眼になって探します。安くて質の良いものを探すその心がけ次第はけして悪くはありません。しかしラーメンは常に500円台と言う生活を送っていると、いつしか650円や800円のラーメン屋に入るのに躊躇する自分がいることに気づくときが来るでしょう。そうなると500円台の中でもさほどおいしくもないラーメンか、さもなくば、もっと安いラーメンを探すと言う流れになりかねません。

サラ金は一般社会からはあまり良い目では見られませんが、業種で見れば国家が正規に認めている職業の一つです。このため、融資を行うにも利率に厳しい上限が定められています。同時にきちんとした運営をするためにも、下限の利率もある程度までしか下げることはできません。

それにも関わらず、多重債務者はもっと利率の低いところはないだろうか、多重債務でも審査が通るところはないだろうかと血眼になってサラ金業者を探し回ります。中にはそう言うところもないわけでもないでしょうが、しかしそれは一杯500円のおいしいラーメン屋と同じことです。とは言え、ラーメン屋なら500円玉を握りしめて訪れれば何度でも食べられますが、サラ金はきちんと返済ができない限り、もはや融資は受けられません。となると、今まで以上に信用が低下した状態で、また誤差の範囲にある稀有なサラ金業者を必死で探しまわると言う流れになりかねません。

ヤミ金は多重債務者のこの特性を逆手に取ってきます。「キャンペーン中につき、今なら◯%」と言った超低金利や「ブラックOK。即日融資」と言うようなコピーは、冷静に考えてみれば金融業としては成立しないものなのです。それにも関わらず、窮状に陥っている多重債務者は、そのようなあやしげなキャッチを見るや、我を忘れて飛びつきます。

深く考えずに甘い話に飛びついてしまうこと。これは言い換えれば相手の視点に立てないのと同義です。ヤミ金はそれを見透かした上で、一見するとありえないようなお得なキャンペーンやキャッチを前面に押し出し、多重債務者をおびき寄せます。

500円台のおいしいラーメン屋がそうそう見つからないように、多重債務者の審査を通してくれるサラ金はそうはありません。このため、ヤミ金から借入をする人は、たとえ審査が通った後、キャンペーンで謳っている金利とまったく異なる高金利を求められても、多くの多重債務者は「仕方がないかな……」とヤミ金の提案にまんまと載せられてしまうのです。

面白いのはこの融資が終わった直後から、金融会社と債務者との力関係が一気に逆転することです。これまで多重債務者が金融会社側のリスクを一切考慮せずに「もっと安く、無審査で、多額の融資を」と繰り返し、ついにはヤミ金業者にまで辿り着いたのに対し、ヤミ金は融資を行った途端、債務者に対して「少ない融資で、超高金利で、長期間の貸付を」となるのです。これは社会の常識を超えたところに手を出してしまったことが原因の一つとして考えられます。

暴力と恫喝に怯えながら高い金利を延々と払い続ける日々。ヤミ金は確かに悪質な犯罪者ではありますが、そこに到達してしまう債務者の心構えも変えてゆくことが不可欠です。最終的には債務者の人生を、命をも奪い兼ねないヤミ金業者。もしヤミ金問題に引っかかってしまった場合には当所にまでご相談下さい。

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