債務整理コラム

借金問題の成否を分けるコツは

日本には思想信条の自由があります。これは何かをすることの自由ではなく、何かを思ったり、考えたりすることの自由です。「何を言おうが勝手だろう」と言う人もいますが、思ったことを実際に口にし、相手に伝えることで犯罪になることは少なくありません。日本と言う国は一見自由なように見えて意外に堅苦しいものなのです。

同様に私たちは、思考においても縛られています。これは法律によって縛られているのではなく、私たちが人間である限り、認識できる限界があると言うことです。たとえば、目で見ることも、手で触れることも、匂いを嗅ぐことも、味わうことも、音を聞くことも、またX線やら赤外線やらと言った科学の限界でもその存在が確認できない宇宙人が存在するとしたら、それは果たして「いる」と言えるでしょうか。哲学的な問題ですね。

実はこの問題は身近なことにも通じます。たとえば、100万色の色鉛筆があって、そっくりに海を描かなければペナルティを与えますと言われた場合、果たしてどの青色を選択すべきかだいぶ迷ってしまうことでしょう。人間と言うものは、ある状況に対して大体が3つくらいの選択肢しか選べないようにできているものなのです。これは今この瞬間においても同様です。毎朝、出社してはメールチェックをしている人が、その日はメールチェックをしないにしても、その場合には資料を出すか、もしかしたら喫煙所にいると言った程度でしょう。そしてその3つの選択肢の中でも、過去に成功した経験があるものほど、選択において無意識に選ぶ割合が高いのも統計的に実証されているのです。

借金問題においてもそれは同様です。初めて借金をしたまじめな人であれば、サラ金に対しても延滞することなく、まじめにコツコツと返済をすることでしょう。逆に、いわゆる「サイマー」と呼ばれるような借金癖のある人は、まずは家族、次に友人、その次にサラ金と言ったかたちで踏み倒しを繰り返すと言った流れになりやすいのです。これは過去のコラムにも述べましたが、遊興費のために借金の踏み倒しを繰り返す彼らの頭の中には、債務整理を行うと言う選択肢はまず存在しません。もし、ひょんなことから債務整理を選択した場合、きちんとした反省がない限りは「自己破産って便利だな」と味を占めた末に再び借金を繰り返し、結局、にっちもさっちも行かなくなり、最終的には人生を壊滅させられるようなひどい目に遭うと言うパターンに陥りがちです。

これはいかなることにも言えますが、借金問題で大失敗をする人と言う人にはある共通点があります。それは「人の話をまったく聞かないこと」です。イジワル婆さんではありませんが、自分に都合の悪い話は無意識的に完全にシャットアウトするか、もしくは「逆ギレ」をする人が多いことは否めません。これでは誰も諫言しようとは思わず、挙句に借金の踏み倒しを繰り返すようなことを続けていれば、やがては家族ですら「あんなもの、親でもなければ子でもない」とばかりに突き放してしまうのも致し方無いと言えるでしょう。

プライドばかりが高くて「金なんて汚いものだ。自分は悪くない。社会が悪い、家族が悪い、環境が悪い、何々が悪い」と責任転嫁ばかりを繰り返す人は大抵、借金問題で取り返しのつかない失敗をします。取り返しのつかない失敗とは、大切な伴侶や子どもを失ったり、また大事故や病気に遭ったりすることが挙げられます。そうして毎日、過去を悔いては泣いて暮らすと言う余生を送ります。

その点、数は極端に少なくなるものの、成功者は素直です。分からないことは人からばかにされても「分からないので教えてください」と素直に述べます。また良いと思った人の意見には素直に耳を傾け、実践します。このため、周囲の人々もその人を好意的にみなして良いアドバイスを授け、ますます成功すると言う良い循環の中にいるのです。

またとても不思議なことですが、借金を重ねて壊滅的な人生を送る人は、無意識に選択するものが「なぜそんなことを」と言うほどにひどい行動を取ろうとします。それも本人は「やったかどうかも覚えてない」と言うほどに無意識にまで刷り込まれているのです。逆に成功者や「この人は人生に成功するだろうな」と言うような人は、質の良い人や環境を無意識的に選ぶことを繰り返しています。

これらは生まれ持った気質や育った環境などが大きく影響しているのでしょうが、それでも私たち人間は、自分の置かれた環境を理性でもって修正することが可能です。繰り返しますが、たとえ借金が一億あろうが、十億あろうが、三十社のサラ金から借入をしていようが、ヤミ金から追い回されていようが、「借金生活はもういやだ。立ち直ろう! やりなおそう!」と強い意思と理性でもって決意しさえすれば、その瞬間に悪循環を断ち切り、また上がってこられるのです。これが獣と人間の最大の違いなのです。

もしかしたら今現在、返済が滞り、懊悩の最中に置かれている債務者がおられるかもしれません。しかし、それであったとしても、立ち直ろうと決意しさえすれば、図書館に通って経済や金融、債務整理に関する本を読んでみたり、また、当所のような借金問題の専門家からアドバイスを受けてみたりすることはできるはずです。逆に決意が甘いのであればチンピラみたいな質の悪い友人に相談を持ち込んでしまい「借金なんて、そんなものは踏み倒せばいいんだよ」と言われてしまうことで、再び多重債務の悪循環が続くことでしょう。

借金生活を断ち切る決意とともに、今現在選べるものの中から、最も質が良いと思えるものを選ぶこと。そしてたとえそれが少々耳に痛いものであったとしても、素直にその意見を採り入れ、実行すること。これこそが借金問題において人生を成功軌道へと載せ替えられる最大のコツなのです。

自己啓発の元祖にして、最大の功労者の一人であるD・カーネギーはその著書の中で「人は自分の考えが間違っていると気づくのであれば進んで改める。しかし、人からそれを言われると不快に感じる」と言った趣旨のことを述べています。謙虚でないのであればそれはなおさらでしょう。しかし、それがわかっているのであれば「耳に痛い言葉とは自分が学ばねばならないことなのだ」と受け止めることができれば、そこから成功への道は開かれます。

もし、当所のこの意見を採り入れ、まずは借金の滞納と言うマイナスの状態をゼロにまで戻すことができたのであれば、次はさらにあらゆる分野において「素晴らしいな」と思える人の意見を採り入れてみてください。今まで行ったことのない事柄ですから、最初は茨の道を裸足で歩くような苦痛を感じるかもしれません。しかし、その選択が正しい限り、次第にそれは喜びと繁栄の道へと変わってゆくはずです。

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