債務整理コラム
状況の変化に対応しよう 2
4. 視点をひっくり返して眺めてみると
アフリカの奥地に居を構え、裸足で生活している部族に生まれた場合、今私たちが暮らしているこの環境にまでたどり着くことが容易ではないことは先に述べました。しかし前言を翻すようですが、それは厳しいものであってもけして不可能ではありません。
確かに人は環境に縛られます。しかし同時に人間には意思と理性があります。これこそが人間の人間たるゆえんであり、他の生物とは違う、何よりも素晴らしいものであるといえます。
成功法則の書籍などではよく「今、一杯百円のマクドナルドのコーヒーを飲んでいても、月に一度でもいいから、一杯二千円は下らない高級ホテルでのコーヒーを飲むべし」などと書かれています。多くの人がそれを読んで「ふーん、そうなんだ」で終わります。しかし、これは意外に大事なことではないでしょうか。
少し背伸びをすることで、私たちは自分が求めている環境に近いものを作ることができます。そこに少しずつ自分をなじませてゆくができます。当たり前のようでこれは、実はみんながあまり実践していないことです。
たとえば借金の返済で苦しいものの、まだ毎月の返済はできているという債務者がいたとします。彼があるとき、いつも以上に倹約をして月に一日だけのんびり暮らせる日常を作る資金を作ったとしましょう。その日は借金に縛られることのない、完全な自由の日です。こつこつ貯めたお金を持って健康ランドで過ごすも良し、カラオケに行くも良し、居酒屋でお酒を飲むも良しなのです。そのような生活はきっと彼に「ああ、借金がないって素晴らしいな」という感情を呼び起こしてくれることでしょう。僅か一日であったとしても、誰にも邪魔されず、取立の心配もない日常に浸れるのです。
借金のない平穏な日常。疑似体験のようであってもそれを味わうことで先述の債務者は、借金のない日常を目指すことができました。未来は無限の可能性を秘めていますが、彼は借金のない未来という一つの可能性を自分の肌で感じたのです。この感覚を一度味わえば、再び戻る借金生活がいかに苦しいかは容易に想像がつきます。もう、一刻も早く借金のない生活へとたどり着きたくてたまらなくなります。一生懸命返済を始め、たとえば途中にコンビニバイトをやってみたとしても、その環境に呑まれることなく「これではなかなか返済ができないな」と気づくことができます。目標ができるのです。目標ができれば、仮に彼が債務整理という言葉を知らなくても、それを見失わない限り、かなりの高い確率で世の中には借金を大きく減らしたり、なくしたりする法的な手続きがあることに気づくときが来るはずです。
借金のない平穏な未来が欲しい。それを心から願い、憧れ、逃げることなく正面から取り組む。その行動と実践の中で、自分が願う未来の環境を自分なりに作ってみる。
これは借金の額が多かれ少なかれ、債務者一人ひとりが自分の置かれた状況の中でせいいっぱい努力してみる価値のある行為であるはずです。
5. 良質な循環が借金をなくす
よく、生まれた環境が悪い・親が悪い・社会が悪い・周囲が悪いという人がいます。それに対して甘ったれるな、自分の責任だろうという人もいます。どちらも間違いではありません。正確にいえばどちらも正解なのです。
先の述べたように悪い環境になれば自然と性格も荒れ、それがまた悪い環境を作るという悪循環を呼びます。しかし、たとえどのような苦境であったとしても今自分にできる中で理想に近い環境を作ることはけして不可能ではないはずです。
ヤミ金によってタコ部屋に連れて来られ、携帯電話を使って借金生活からの脱出手段を探している人がいたとしましょう。そのような人であっても、今この瞬間には、すぐに脱出はできずとも、たとえば自分の身の回りを整理整頓してみるとか、挨拶をちゃんとしてみるといったことはできるはず。同様に、サラ金から多重債務をしていても、とりあえず当所の無料にメールで無料相談をしてみるといったことはできるはずです。
願いを現実にしてみること。その小さな一歩が良質の循環を呼び、やがては「こんな状態ではだめだ」と自分を奮起させるのです。
まずは良い環境を作り、そこに浸ってみましょう。もっと改善できる点が見えてくるはずです。