債務整理コラム

借金問題の「こっそり検索」は悪循環の入り口に

借金というものはけして人聞きの良いものではありません。家族に知られたくない場合であればそれはなおさらです。このため、たとえばパートの主婦やサラリーマンなど、所帯を持っている債務者の多くが夜中にこっそりパソコンで検索したり、ひと目に付かない公園でスマートフォンを用いて債務整理について調べたりする人も多数いるのです。

しかし、実はそこには大きなワナが潜んでいます。

借金の返済が苦しくなってきた段階で、債務者は人生の大きな分岐点に差し掛かります。多くの債務者が選ぶ道は2つ。

1 審査の甘いサラリーローンについて調べる。
2 債務整理について調べる

大体はこのどちらかを選ぶものです。
前者の「審査の甘いサラリーローン」について調べ始めれば、運が良くても深刻な多重債務に陥ります。この流れのままさらにあがけばやがてはヤミ金に捕まる可能性も大いにあるでしょう。仕事はもちろん、家族は離散し、最悪であれば債務者個人の命すら危うくしかねない状況になってしまいます。

後者の「債務整理について調べる」というのは、前者に比べればずっとマシ。しかし借金で行き詰まったとき、債務整理について調べ始めると、その情報は果てがありません。とくにどこの誰が書き散らしたのかわからなかったり、また、あまり質のよくない弁護士・司法書士の情報を鵜呑みにしたりしてしまうと、今度は、たとえば「借金の一本化」やら「カードの現金化」といった、不正な借金逃れの方法やヤミ金の亜流の方に意識が流されてしまう可能性も否定できないのです。

また、そこまで至らずとも債務整理について情報を得出した場合、自分で踏ん切りをつけない限り、毎日毎日ひたすらにネットで検索を繰り返すばかりで、結局はにっちもさっちもいかない事態にまで陥り、そうしてようやく弁護士・司法書士に相談をするというパターンにもなりかねないのです。

情報を得るということは確かにとても大切なことです。何の知識もないばかりにうっかり腕の悪い弁護士・司法書士に引っかかってしまうというケースも十二分にあり得ます。しかし、それよりも大切なことは、情報を得る際に、

A 自分は何の目的のために
B 何を調べ
C 何を調べずに済めば良いか

についてまず大まかに道筋を作っておくことが肝心です。
たとえば、

A 多重債務で返済ができないから、債務整理の相談をしたい
B 債務整理にはいくらの費用とメリット・デメリットがあるのだろう
C 債務整理のためには、ヤミ金や一本化・リボ払いなどの危険な情報は意識して捨てよう

と考えておけば、大きな問題は生じないはずです。そして必要最小限の情報をきっちりと得たのであれば、その後には迅速に相談へと踏み切れるはずです。

逆にきちんと自分なりに目的を定めておかないと、インターネットで債務整理を検索する過程で「わたしはこうして借金を踏み倒した」などという、まったく信用のできない体験談などに遭遇し、思わず読みほうけてしまう可能性だって十分にあることでしょう。そうして多重債務者の一部の人々は「余計なデメリットや費用をかけずに借金が踏み倒せるなら…」と、誰も責任を取ってくれない借金地獄の道を思わず選んでしまうのです。

借金の踏み倒しだの、ヤミ金への連絡だのに比較すれば、債務整理というものは、一見すると債務者にとってリスクが大きいように感じられるかもしれません。しかし、踏み倒しを繰り返せばそれだけ信用が喪失され、自己破産を経たとしても、家族も勤め先も知人・友人のみんながそっぽを向いた状態からの再建となります。ましてやヤミ金は金融業者のふりをしているだけの詐欺師です。信用のためにと称して幾らかを先に振り込ませて、後は知らぬ存ぜぬを決め込んだり、少額の融資をした後は、絶望のどん底まで突き落とされるようなひどい目に合わせたりなど、この世の地獄をみることになるのは確定といえるのです。

これに比べれば債務整理は医者が打つ注射のようなもの。最初こそチクっとするかもしれませんが、その後は何もありません。当所で債務整理を行った債務者の方々の多くが「自分が思っているほどの痛手は全然被らなかった」と口を揃えて述べてくださいます。ましてや返済に完全に行き詰まるのではなく、返済が苦しいと感じた段階で相談をすれば、注射すら必要ないかもしれません。

借金問題について調べだすと易きに流されやすくなるのが人の性というものです。それを回避するためには「債務整理以外の情報はすべて捨てる」と決意を持ってみることが何よりも肝心です。


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