債務整理コラム
ゾンビ映画の缶詰
ゾンビ映画をご覧になったことはあるでしょうか。ゲームの「バイオハザード」が火付け役となったことにより、今やゾンビ映画は誰もが知るところとなりました。これらのゾンビ映画では、主人公(と、その仲間)は、大抵が生き延びるための食料や水の確保に向けて、ゾンビだらけの町中を東奔西走することになります。
そもそもゾンビ映画は一種のサバイバルものです。極限状態の中で、ジリジリと減ってゆく水や食料をなんとかするために動きまわりますが、一日二日程度のそれを確保することはできても、ゾンビと遭わず、十年二十年とシェルターに閉じこもれるほどの量はまず手に入りません。
借金問題もこれと同じ面があります。コワモテのサラ金が取立に来たため、今日なんとか返済をした、しかし一日二日後にはまた別の返済日がやって来る。そのためにはなんとかお金を捻出しないといけない。生きてゆくためのお金ももちろん必要になる。せっぱつまった状況です。
ゾンビと借金。両者は一見すると何の関係もないように見えます。しかし先の言葉の「サラ金」を「ゾンビ」に、また「お金」を「水や食料」に言い換えるだけで、実は債務者は自分がゾンビ映画の主人公になっていることに気づくはずです。
サラ金から借金をした債務者が、返済に苦しむようになる。このとき、さながらゾンビから逃げ回るように、ひたすらに借金取りから逃げまわるだけでは当然、生活費はやがて底を突いてしまいます。さりとて、なんとかお金を増やそうと、パチンコや競馬など、一発逆転を狙って手持ちのお金をつぎ込むと、まず破産するのが目に見えています。
もちろん、ゾンビ映画を参考に借金生活から脱出が図れるかといえば、それは「とても難しい」といわざるを得ません。なぜなら、債務者の状況はゾンビ映画であれば、もはや「詰み」に近い状態といわざるを得ないためです。
そもそも、お金の法則というものは非常に簡単です。
収入−支出=利益
正確な会計の用語ではないものの、大雑把にまとめればこれだけ。子どもでもわかる話なのです。逆に支出が収入を上回れば、これは損失になります。たとえば貯金が10万円ある人が、毎月1万円ずつ赤字を出していたとしましょう。当然、10ヶ月後には貯金がなくなり、生活してゆけなくなります。
ゾンビ映画でもガソリンや食料・水が底を尽きたらもう手の施しようがありません。同じように借金において、もはや返済ができないというのは「詰み」の状況なのです。もちろんいくらサラ金に追われているとはいえ、債務者としては一ヶ月か2ヶ月、生きていける程度の収入や貯蓄はあるかもしれません。しかし、それを食いつぶしてしまえば、もはや生きることも叶わなくなります。
ゾンビ映画の結末は、大体2つのパターンに分かれます。1つは食料や水などを確保して、郊外に逃げるもの。もう1つは軍隊などが出動するものです。前者の場合、大抵が辺ぴな田舎に逃げた主人公がほっと一息をつくものの、実はうごめくゾンビの陰が見え隠れして終わりということが少なくありません。
もう1つは軍隊が出動して全部を焼き払ってしまうもの。これにはもちろんデメリットがあります。また、主人公も軍隊から「街を焼き払う」と打診を受けて、間一髪で脱出するシーンもあるかもしれません。しかし、助かるのは大抵がこちらのパターン。
借金で首が回らず、もうにっちもさっちもいかない。こういうとき、自分の考えにとらわれておかしな行動に出たり、サラ金から逃げまわったりすると大抵は人生そのものが破滅の危機に瀕します。それよりはむしろ法的な力を用いて、持っていた借金を全部帳消しにしてしまう、という1つの脱出方法を頭の片隅に入れておくほうがずっと堅実といえるかもしれません。