債務整理コラム
借金のストレスを高め続ける最大の敵
債務者の多くは、自分の借金問題が周囲に知られていないか、絶えず危惧しているようです。中には借金の返済そのものではなく、家族や勤め先などに、自分の借金が知られないかどうかについて腐心するあまり、いつしかノイローゼになってしまう債務者すらいるほどです。
確かに借金について周囲に知られればどうなるか。債務者のほとんどはこんな鬱々とした想像に終始していることでしょう。
近所の人はこう噂するかもしれません。
「◯◯さん、借金を抱えて返済ができないんだって」
会社の上司がこう告げてくるかもしれません。
「◯◯君、君、借金があるんだって?会社に迷惑がかからないだろうね」
奥さんはこういうかもしれません。
「あなた、借金の取立が家に来たんだけど、どうなっているの」
借金問題が一度周囲に漏洩してしまえば、どういうパターンであっても、そこから良い展開に持っていくのは少なからぬ労力が必要だ。債務者はこう考える傾向があります。
この考えは一面では間違っており、また一面では当たっているともいえるでしょう。たとえば債務者と明確な利害関係のある存在である、家族・知人(友人)・会社。彼らは自分と隣合わせの存在である債務者が、自分に危害を及ぼすと知れば手のひらを返して排除してくるかもしれない。そういう可能性について危惧します。結論として、債務者は借金という大きなデメリットを何としてでも隠し通したいと考えるのです。
しかしそれはあくまでも可能性に過ぎません。頭の良い人間は想像力が豊かです。彼らは事前に問題となりそうな事柄を予測・推測することで、「もしこうだったら、こうしよう」と対策を立てることができます。しかし、その想像や推測がゆきすぎるとどうなるか。まだ起こってもいない問題、事実とはまったく違う可能性に対して「こうなりかねない」と怯えてしまい、身動きが取れなくなってしまうのです。借金問題を抱えている人の中には、このように精神的に自縄自縛に陥っている人が多々見受けられます。
実際、家族や勤め先などへの漏洩とはまったく関係なく、ただ「借金が知られることが怖い」「借金問題を誰にも知られたくない」という思いだけが極端に先行してしまっている債務者はたくさんいます。こういう人は大抵がとてもまじめな性格です。小さな頃から教わってきた道徳観念が強いために、理由もなく「借金は恥」「借金などみっともないことを知られたくない」と思い込み、債務整理の相談もできない状況に陥っていることが少なくありません。
この想像を絶するストレス。これを大きく軽減する方法が一つあります。それは「開き直ってしまうこと」です。
開き直るといっても「借金があるけれども返さない」と公言するわけではありません。そうではなく、知られることにビクビクしないで「隠す努力はするけれど、バレたらバレたで、別にいいんじゃないか」と思うことです。
世の中のほぼすべての人が「自分だけは特別」という意識があります。しかし、実社会において学校の校長先生や政治家・大企業の社長でもない限り、誰もあなたのことを尊敬してはいません。逆にいえば卑下もしません。要するにどうでも良い存在なのです。
それにも関わらず、債務者は「借金がバレたらこうなるかも」「借金がバレたら恥ずかしい」などと絶えず思ってはふさぎこんでしまいます。でも、現実はそんなことはないのです。そこに気づくことができれば、たとえば家族や会社のような利害関係者ではなく、当所のような債務整理の専門家にまずは相談ができるはずです。その結果、実際に誰にも知られることなく、しっかりと借金が減らせることでしょう。
借金問題における最大の敵。債務整理を阻む最大の敵はサラ金ではありません。利息の大きさでも、債務整理で生じるデメリットでもありません。自分自身の意識なのです。
もう一度述べましょう。膨れ上がる債務をきっかけに、絶えず想起されてくる破産の恐怖。解雇の恐怖。離婚の恐怖。これらを打ち破るために行うべきことは、右往左往して必死に債務を隠すことではありません。また理不尽な恥の意識に必死に耐えることでもありません。
膨れ上がる債務において本当に行うべきことは「現実を直視すること」。そして、それは借金を見つめることではなく、まだ起こっていない想像の中の恐怖の未来を「これは現実とは違うのだ」と切って捨てることなのです。
債務の返済が苦しい中で、司法書士に相談を行う。とても勇気の必要な行為かもしれません。でも、とりあえずは匿名でも結構です。相談をしてみましょう。それによって、自分がいかに誤った思い込みによって、無意味な行動を繰り返してきていたかに気づき、きっと目からうろこが落ちる思いをするはずです。