債務整理コラム
借金問題におけるリスクを誰よりも早く察知するための方法 2 〜悪魔が差し出す羊の数は〜
ご利用は計画的に。
このコピーを見ただけで「あっ、サラ金のCMだな」と思った人は多いことでしょう。誰もが知るあまり「計画的な人間ならそもそもサラ金なんて使わない」とまで揶揄されたこの文言ですが、そういわれたのは、華やかで娯楽的な消費者金融のCMの裏に潜む、あこぎな取立や、返済の苦しみ、差し押さえといった借金の恐ろしさをほんの一瞬だけ垣間見せていたためでしょう。
「計画的に」と思っても不慮の事故や人生の不如意によって、返済がままならなくなることも珍しくないのが借金です。その中でも最も返済しにくいものが消費者金融。これは銀行に融資を頼むような堅実な理由ではなく、レジャーなど、遊興費としての借入が目的であったり、またときに審査の甘さをあてにすることが理由であったりするためです。
このように借金、とくに消費者金融などの個人向け融資は返済が難しいようにできています。前回のコラムでは「借金をすることは恥ではない」ことを強く述べました。この日本では借金をすることはごく普通。しかしそれが表に出ることは恥ずかしいという、本音と建前のある文化なのだという話です。そして今回お伝えしたいことは「借金を返せないのは恥」という考えを捨てることです。
バブル期には借金の返済ができないために首を吊ったり、飛び降りをしたり、家族を日雇い労働やら出稼ぎやら、風俗店やらといった劣悪な環境で働かせざるを得なくなったというような、胸の痛む話が少なくありませんでした。現代では取立に関する法律が厳しくなったこともあり、さすがにこのようなひどい事態はあまり聞かなくなりましたが、見えないところでそのような取立がまったくないかといわれれば、必ずしもそんなことはないのでしょう。とくに法律違反であるヤミ金などから融資を受けた場合、必ずといって良いほどひどい取立に遭うものです。
いずれにせよ、まじめな債務者の中には「借金はどんなことがあっても返さなければ」と考えている人がいるのは事実です。
しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。それは『サラ金のような消費者金融の利率が極端に高いのは、返済できない人の分の利息までしっかりと織り込んでいるため』なのです。要するに返済できないどこかの誰かの借金の分までしょいこんで、苦しい思いをして返済をするのもおかしな話なのです。
このように、元々返済できない可能性を十二分に計算し、誰が返済できなくなっても、別の人から貸し倒れ分も回収できるように高い利率を施したものが消費者金融なのです。しかしそれとは別に、借金にはもう一つ、完済まで至ることが難しい理由があります。それは複利です。
借金慣れしている債務者にとって複利はなじみ深いものかもしれません。しかし、たとえばこのように考えてみてください。
ある日、悪魔が現れてあなたに一匹の羊を差し出しました。
「あなたが毎日ちゃんと世話をするなら、この羊は一日に一匹子どもを生むでしょう。100日毎日世話ができれば、世界一の大金持ちです。でも一日でも世話をしなかったのであれば、羊の価値の分だけ、あなたの未来をもらいます」
あなたは喜んでこの羊をもらいました。羊の世話をはじめると、次の日、羊は子羊を生みます。子羊の価値は羊の10分の1。あなたは早速、羊一匹と子羊一匹の世話をします。次の日、羊はまた一匹子羊を生みました。子羊は、今度は孫羊を生みます。孫羊の価値は羊の100分の1。さて、これを100日繰り返してゆくと、羊の数(価値)はなんと約13870匹にもなりました。あなたとしては到底お世話がしきれません。すると悪魔が現れて「世話ができないのなら、約束通り、羊の分、あなたには働いてもらおう」といって、あなたを連れ去ってしまいました。行き先はもちろん借金地獄です。
借金は複利で増えます。この複利の価値というものは本当に恐ろしいものですが、本来、人間はこんな速度でお金を増やすことはできないのです。消費者金融とはこのように不可能に近い約束の上で融資を行っています。だからこそ、消費者金融から借入をすることはとてもお勧めできません。それでももし借入をしてしまい、何らかの理不尽な理由で返済ができなくなってしまったのであれば、さっさと債務整理をするべきです。