債務整理コラム

借金返済を効率よく進めるための2つのアドバイス 1

真理は常に当たり前の日常にこそ潜んでいます。水におぼれてはじめて空気の価値を知るように、ときに私たちは当たり前にある何かを喪失してはじめてその価値を思い知ることができるのです。

借金はお金のありがたさについて、我が身をもって知る機会となります。今、歯噛みをしながら毎月返済をしている人、もしくは一円単位まで切り詰めて生活費を捻出している人、もはやお金のあてが一切なくなってしまった人、さまざまな人が世の中にはいるでしょう。しかしいずれにせよ、債務者の誰もがその身をもってお金の価値をひしひしと感じているに違いありません。

苦しいですね。

このとき債務者のみなさんはこんなことを考えるはず。

「今月の取立さえなければ」
「会社の支払いがきちんとしていれば」
「あの馬がちゃんと一位になってれば」
「あの人が借金を押し付けてこなければ」

それはその通り。きっとその思いは正しいのです。しかしそれは思っても詮なきこと。いくら悔やんでも怒ってももう取り返しがつかないことなのです。

取り返しがつかない。
私たち人間は往々にしてこの点がきちんと理解できていません。誰もが自分の人生だけは特別であり、ときに奇跡が起こり、本気を出せば何でもできる。そう思っている面が誰にでもあるのです。

しかし、取り返しがつかないことは世の中にごまんと存在します。この世の中の誰一人として一秒前に時間を戻すことはできません。どうしようもないのです。そうして、お金はその「取り返しがつかない」面をまざまざと見せつけられます。

「じゃあ、あきらめろっていうの?」と思う人もいるかもしれません。それは半分正解であり、半分間違いです。取り返しがつかない過去を振り返って幾度となく怒りを抱くよりも、今思うべきことがあります。そしてそれこそが当たり前の日常に潜んでいる言葉なのです。

銀行であれ、サラ金であれ、金融業はお金をモノとして扱う『商売』です。そして商売では鉄則があります。みなさまもきっと聞いたことがあるだろう鋼の掟です。

商売とは、安く買って、高く売る。
これだけです。

● 借金返済を効率よく進めるためのアドバイス その1

『商売とは、安く買って、高く売る』

なあんだ、と思う人もいるかもしれません。でも振り返ってみてください。債務者の居留守を見透かして延々と取立に来るサラ金は債務者以上に商売上手です。

債務者に給与を払わずに支払いを先延ばしした会社は、債務者を1ヶ月・2ヶ月とタダ働きさせた商売上手です。

散々期待を煽ってお金を注がせつつ、一円も返金しなかった競馬場は商売上手です。

借金を押し付けて逃げまわったあの人は、楽してお金だけをせしめた商売上手です。

「なんととんでもないことを」と思った人もいるでしょう。そうです。これらはいずれもとんでもないことなのです。でも、我が身を振り返ってみていかがでしょう。

「借金をしてモノを買おう」と思った人は、まず「借金」を買います。けれど、その買った借金をより高く売ることができたでしょうか。売れなかったはずです。

会社のボーナスがきっちり入って返済ができた人は借金について考えません。万馬券を当てて一気に返済できた人は借金について考えません。借金が高く売れたからです。そして普通、借金は売れないのです。高すぎるからみんな買いたくないのです。

今、借金で悩んでいる人はまず考えてみましょう。今、自分の収入でこの借金が返せるのか。

これは商売です。借金は借金という「モノ」であり、売れなかった在庫です。八百屋さんは大根や人参を仕入れます。花屋さんはバラや菊を仕入れます。同じように無職であれ、年金生活者であれ、アルバイトであれ、専業主婦であれ、今借金をしているからには、借金という在庫を抱えてもう商売が始まっているのです。

そして借金にはもう一つ、特異な点があります。それは放置すると延々と在庫が増えてゆくという点です。そう。金利です。

借金は放置すればするほど在庫が増える。しかも極端に売れにくい。だからこそ、私たちは借金をした際、まずこう考えねばなりません。「この在庫、ちゃんと売れるのかな」と。

商売をする人はモノを安く買い、高く売ったその利ざやで生活をしています。会社が儲けを出せずにお給料だけを社員に払っていれば会社は倒産します。八百屋さんでも仕入れた大根を自分で食べてしまっては生活できなくなります。同じように私たちも借金を負った場合にはこの「利ざや」を考え、利ざやの中で生活できるかをまず考えねばなりません。

利ざやとは何か。給与から借金を差し引き、その残りで生活していけるかどうかです。

貯金+毎月の収入−返済額=生活費

この生活費が月々少しでもたまってゆくのであれば、借金の返済を続けても良いでしょう。そうでなければすぐにでも債務整理の手続きをする必要があります。

お金はシビアで冷酷な面があります。サラ金会社に人情やなあなあが通じないことは債務者ご自身がよくお分かりのはず。相談だけでもしておくことで、いざというときには任意整理など、最もキズが少ない方法で、かつ借金の金利分だけを消すことも不可能ではないのです。

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