債務整理コラム
偽物を身につける債務者は借金返済がはかどらない 1
偽物のブランドを身につける人はお金が貯まらない。そう昔からいわれています。お金が貯まらないとは、貯金ゼロからお金が増えないことです。その中には借金でマイナスの状況から貯金ゼロまで辿りつけないことも含みます。偽物を身につける人は借金が返せない。そういうことなのです。では、なぜ偽物を身につけるような人はお金が貯まらないのか。借金が返せなくなるのか。今回はそれについて述べます。
偽物ブランドの本質
偽物ブランドと本物の違い。どこが決定的に違うのでしょう。値段でしょうか。品質でしょうか。その本質を理解するのは、もう少し視野を広げ、それらを製造している国々にまで想像をめぐらしてみる必要があります。コピー市場と呼ばれる贋作製品の市場です。
昭和の初期から中期にかけては日本国内でもたくさんの劣悪なコピー製品が出回っていました。自動車しかり、バイクしかり、カメラしかり。全部アメリカの製品のものまねです。しかし当時の日本人に「人が一生懸命考えたアイデアを盗むなんて恥ずかしいと思わないのですか」と尋ねてもきっと彼らは首を傾げるだけでしょう。
モノを盗むのではなく、アイデアを盗む。表現を盗む。今の日本人であれば、これが悪いことだと知っています。恥ずかしいとも思うでしょう。しかし日本人は元来、外国の様々な文化を喜んで学び、吸収する傾向を持っています。このため、人のアイデアを盗むことにあまり違和感がなかったのかもしれません。そしてもう一つ、日本人の場合、最初は模倣より始まったものであっても、それを分解し、より精緻に高めようと自分たちなりにアレンジを加え、やがてはまったく独自の高度な製品を生み出します。この結果、最初は模倣にはじまった自動車産業であっても、今やいかがでしょう。日本の自動車は世界に名だたる一大市場を築き上げました。
さて、現代ではコピー市場といえば中国といわれます。現代の中国の人に「アイデアの剽窃や著作権のあるもののコピーはダメだよ」といっても、彼らは不思議な顔をするそうです。ここで先の昭和の日本人と今の中国国民とを比較すると、漠然と彼らのモラルや考え方が理解できます。
日本人は模倣に始まった後、独自のコンセプトでより高品質な製品を生み出す。より高い価値のある製品を売り、また製作者も自信を持って自社製品を身につける。それがブランドであると堂々と自負しています。
現在の中国は模倣のまま、粗悪な贋作を売り、その儲けで製作者が本物のブランド品を身につけています。一見似ているようですが、この意味するところはまったく異なります。一言でいえば「ハッタリがきく環境かどうか」なのです。
日本ではハッタリはご法度
ハッタリとは何か。中身がないのに価値があると思わせることです。
中国でブランドのコピー製品が通じる理由。それはまだまだ後進的な地域がたくさんあるためです。目利きがきかない人の方が圧倒的に多いでしょう。その中でコピー商品を用いればハッタリをきかせることもできるでしょう。偽物のブランドを身に付けることで、本当は何もできないのに、すごい能力が高いのではと思わせるようなことはできるかもしれません。
しかし一億総中流といわれたくらい、日本は全体的に人の質が高いのです。また明確なピラミッド構造をもっており、贋作である程度以上の社会に出ることはほぼ不可能に近いといえます。
「今の偽物は精巧にできている。本物と見分けがつかず、値段は本物の百分の一。だから偽物を身につけて損はない」
人ごくたまにこのようなことを言う人がいます。非常に危険な思考です。厳しい言い方をすれば典型的な貧乏思考と言わざるを得ません。ハッタリだけで渡っていけるほど世の中は甘くないのです。一回二回はそれで騙せてもあるとき足元をひっくり返される事態に必ず遭遇するのです。
場末のキャバクラで偽物のロレックスを見せびらかして女の子にちやほやされたとしましょう。それで図に乗っていると、あるとき銀座のホステスに横目で「それ偽物でしょ」と一刀両断されることになります。これまで培ってきた信用もステータスも台無しです。大恥をかかされることになるのです。一度喪失した信用を再び取り戻すには至難の業です。ましてや異性を相手にするような場所で信用を取り戻すなどほぼ不可能です。「あなたみえっぱりなんだね」で終わってしまいます。実際にそういうケースはいたるところで起きています。