債務整理コラム
借金で悩んだときには、一度立ち止まって大きな流れを見る 1
今回は借金の解決にもつながる考え方を得るために、より大きな「お金」という流れについて学んでみましょう。
「とにかく働く」という必要はないが・・・
日本人は「額に汗して地道に働く」ことが好きです。これは賞賛にも価しますが、もう一方でお金を直視できない要因にもなっています。日本では「宵越しの銭は持たないのが粋(いき)」ともいわれたように、お金がなくても何とか生きていける環境になっています。金銭を管理するのは政府国家の役目であり、国民はそれに従ってゆけば、とりあえず明日の食事には事欠かないといった思いが骨身にまで染みついているのです。
華僑やユダヤの人々は昔から大富豪が多い民族だといわれています。彼らは日本のこのような風潮には徹底して懐疑的です。お金を直視できず、ともすれば卑しいとすらみなされかねない日本の文化は、個人が金銭的な幸福を得ることを拒絶させる仕組みであり、またその真実に気づいてしまえば、日本という閉鎖した社会からつまはじきになりかねないと警鐘を鳴らすことも少なくありません。
では、そう述べる華僑やユダヤ人の人々はとにかくラクして儲けているのでしょうか。答えはそうではありません。彼らは細かく徹底してリスクとリターンを冷静に見つめ、時を待ち、こつこつと準備をしています。この準備は商売のときもあれば、経営のとき、人づきあいのとき、投資のとき、あらゆる面に通用します。そうして大きく伸びてゆく彼らはみな同じことを口にします。
「お金にきれいもきたないもありません。お金はお金です。」
この「お金はお金」という言葉。私たちはどう捉えるべきでしょうか。
お金の性質で、ほとんどの人が見落としがちなこと
毎日汗だくになって工事現場で働いても、お客さんのグチを聞きながら焼き鳥を焼いても、投資で儲けても、パチンコで大当たりしても、得られるお金そのものに差はありません。お金はお金です。
「だったらラクして儲けた方がいい」と多くの人はもちろん思うことでしょう。その結果、すぐに目につくものはパチンコや競馬などのギャンブルです。ギャンブルにはそれ自体に人を夢中にさせる中毒性があります。このため、ギャンブルで借金漬けになってしまった多くの債務者は、儲けることよりもギャンブルをすることそのものが目的になってしまっています。
でも、そうして夢中で取り組んだギャンブルでお金は儲かるでしょうか。結論からいいますと、100%不可能です。ギャンブルはやればやるほど儲からない仕組みになっていることは、ギャンブルをやっている人ご自身が一番よくわかっているはずです。
先に述べたように、いわゆる海外の大富豪は、儲けるための効率的な方法を知ってはいますが、ラクして儲けているわけではありません。儲ける大きさのスケールがケタ違いに大きいだけです。
額に汗して働く場合、おおむね得られる金額に限界があります。でも、同時に一つのメリットも存在します。それは「お金の性質が持っている悪い部分」に呑まれないで済むということです。
「お金儲けの神さま」といわれた邱永漢氏は、かつて、お金についてこのような名言を残しています。
『お金のある人は、お金そのものが人をこき使う性質を持っているので、よほど気をつけないと、いつの間にか、お金にこき使われて一生を台無しにしてしまう』
上記はお金持ちについて述べていますが、お金の本質という点から見ると、借金を持っている人にも同じことがいえます。
借金を持っている人はお金にこきつかわれています。お金を返すことが難しいから、取り立てに来たサラ金に居留守を使ったり、金利の安いサラ金を探したりするのです。これはお金にこき使われている証拠。
日銭を稼いでそのお金だけを使うというのであれば、この「人をこき使うお金」の性質には呑まれないで済みます。しかし現在借金で苦しんでいる人にとっては、それはもう遅すぎるように思えるはずです。
では、お金というものを学ぶことで、どうすれば借金の解決に役立てることができるでしょうか。