債務整理コラム
借金で悩んだときには、一度立ち止まって大きな流れを見る ２
ものを見る「目」をひっくり返すと。
『お金のある人は、お金そのものが人をこき使う性質を持っているので、よほど気をつけないと、いつの間にか、お金にこき使われて一生を台無しにしてしまう』
という、邱永漢氏の言葉を前回は紹介しました。
借金に追われている人は、現在、お金にこき使われている状態に陥っています。ここで一度、ものを見る目をひっくり返してみましょう。お金そのものになってみるのです。
私たちはお金を「使うもの」と認識しています。でも、お金を稼ぐために日々、あくせくと働いているのもまた事実です。つまり、お金の側に立ってみれば、お金が主体になって、私たちを使っているともいえるのです。
銀行で考えてみましょう。私たちは銀行に貯金をします。お金が集まると、銀行員は貸せそうな相手に、金利をつけてお金を貸します。このお金は事業主や会社などに流れてゆき、事業主や会社の社員たちが働いていろいろなサービスをする諸経費や設備へと変わってゆきます。これらはたとえば電車賃だったり、水道光熱費だったり、社員のお給料だったりするわけです。お給料で考えてみると、社員の一人ひとりが家族を養ったり、プライベートを充実させたりするために、今度はまたそのお金を使ってゆきます。そうして残ったお金がまた銀行へと戻ってゆくわけです。
先に述べたようにお金にはきれいもきたないもありません。お金はお金です。実は借金というのも同じです。借金をする人がいるということは、返済の金利で儲けている人もいるということ。人と人との枠組みで見るから借金といわれますが、自分がお金の立場に立ってみると、自分はあくまでも循環している流れの中にあるだけで、その価値は変わりません。
借金を返済するためには働かねばなりません。これはつまり、お金を作るという作業です。今借金を負っている人は、一度立ち止まり、お金の大きな流れの中で今自分はどんな役割を負わされているのかを考えてみましょう。
自分はお金に使われていないだろうか。しっかりと使えているだろうか。よくよくそこを見つめてみると、やがてあっと驚くような思いをすることができるはずです。
強制的に環境を変えてみる。
多重債務に陥って返済できない人の最悪のパターンは「もう知ったことじゃない。どうにでもなれ」と居直ってしまうことです。これは「もうどうしようもない」と諸手を上げて降参しているようなものであり、ある種、人間が陥りやすい心理でもあります。
しかし同時に人はお金を使って生活もしなければなりません。すると、多重債務者の中にはお金を稼ぐために「パチンコの打ち子をやります」とか「オレオレ詐欺の出し子をやります」などという犯罪行為に走ってしまう人も出てきてしまいます。
これはある意味で最悪のパターンです。世の中には一千万円とか、一億円の借金を負ってもしっかりと返済をする実業家など掃いて捨てるほど存在します。それと比較すれば、数十万円、数百万円という金額のため、犯罪者として逮捕されてしまったり、もっと悪ければ失踪して行方不明になったりしてしまうのは本当にもったいないことです。
パチンコをはじめとするギャンブルには一種の麻薬性が存在しますが、借金の取り立ても含めて心が麻痺してきてしまったのであれば、たとえば３日なり、一週間なり、何もない環境に身を寄せてみましょう。
別にお金を使う必要はありません。着替えを持ってぶらぶらと旅に出てみたり、色々な風景を眺めてみたりするだけで全然気持ちが違います。借金の原因となったパチンコなどの存在しない日常もあるのだと思うだけで気持ちがほっとするはずです。取り立てのない日というのはこんなに穏やかなのかと安心できるはずです。
もちろん一息をついたらいつもの日常に戻らなければなりませんが、借金や借金の原因となったものから離れてみることで、本来あるべき自分自身を再確認することができるでしょう。
お金にこき使われない日常を。
お金は社会という生きものの身体を循環する血液です。でも、その血液を作り出すために債務者となった方が必要以上にこき使われるというのはおかしな話です。お金という視点から見て、自分があまりにもこき使われて自分自身をすり減らされていると感じているのであれば、役割を変えてみることも考えてみましょう。
債務整理というのはけっして極上の響きを持つものではありません。でも、お金に使われて命をすり減らしている毎日から脱出するための一種のカンフル剤だとも言えます。カンフル剤だから副作用があるだろうと多くの人がいまだに思っていますが、副作用を恐れるあまりに何十年も命をすり減らすよりも、早めに相談だけでもしてみると、思ったよりもデメリットがないことに気づくはず。
借金のない日常というのは、本当にほっとできるものです。お金をこき使って豪華絢爛な日々を目指すというのであれば、それは止めませんが、その前に、まず当所に相談をすることで、お金に使われない、安心できる日々を目指してください。
