債務整理コラム
うまくいかない借金整理
借金の整理を専門に扱っている弁護士事務所・司法書士事務所は無数にあります。インターネットの検索エンジンで「借金 債務整理」や「過払い金 弁護士」などと検索をすれば、それこそズラリと法律・法務事務所の名前が出てきます。
それらのウェブサイトには借金の整理についての基本的な知識や手順が述べられています。またインターネット内の掲示板や書籍を活用すれば、より深く借金について知ることもできるでしょう
債務整理を考えている方の中には、弁護士や司法書士に費用を払うことがばからしいと思っている人がたくさんいます。このような人は借金の整理をする際、特定調停を活用することにより、自力で借金の解決を目指すことが多いようです。
当コラムを隅から隅まで読み、またネット内のあらゆる知識を活用すれば、借金の整理に関する具体的な方法や手順を学ぶことはできるでしょう。しかし、それで借金の解決がもくろみ通りに成功するかというと、実はなかなか難しいのです。
いちばんわかりやすい例はヤミ金問題です。ヤミ金は正確には金融業者ではありませんが、今回は便宜的に金融業者としてお話をします。
ヤミ金から借金をした。1万円の融資を受け、初回金利と称して手数料を引かれて8千円が振り込まれたとします。返済日が来たにも関わらず、お金がないため取り立てを受けました。すさまじい暴言と脅迫の嵐です。
ヤミ金業者にお金を返す必要があるかといえば、ありません。不法原因給付として、元金も金利も含めて一銭の返済も不要なのです。
でも、ヤミ金は犯罪者です。エゴのかたまりのような悪人ばかりです。そういう人間に対して「法的に返す必要はないから。不法原因給付だから」といったらどうなるでしょう。「金を借りておいて、なんだ、その態度は」となります。弁護士や司法書士に一任すれば、さっさと収まった問題も、債務者自身が法律を盾にしたことで取り返しのつかない事態を招いてしまったのです。
わかりやすく説明するためにヤミ金を例に挙げましたが、同じことはサラ金業者にもあてはまります。特定調停は債務者個人が債務整理を行います。書類の準備はやや手間がかかりますが、一生懸命がんばればできないほどでもないでしょう。
問題はその後のサラ金です。お金を借りたのに、本人が「借金を減らす裁判をします」とサラ金に告げれば、サラ金業者も「借金をしておいてなんだその態度は」と思ってしまうのです。ましてや特定調停を行う際、法律的には当然の権利だからとサラ金を挑発するような人すら少なくないようです。
そうなると調停員の心象も著しく悪くなります。誤解されがちですが、特定調停を行う際、双方の話を聞く調停員はあくまでも両者に公平な存在です。債務者の中には、自分は借金を抱えた弱者で、相手はひどい取立をする金融屋だという気持ちを持っている人がたくさんいますが、調停員はまったくそのような気持ちがありません。
だから特定調停を行った人の話を聞くと「調停員はものすごく冷淡な態度だった」という人がたくさんいるのです。これに加えてサラ金側も内心では憤慨しています。その結果、減債にはまったく応じず、それどころかサラ金会社の顧問弁護士が出てきてしまうという事例はしょっちゅうなのです。
こうなると相手は弁論と裁判の専門家。こちらは借金についてネットで知識を得ただけの素人。まず勝ち目はありません。
今述べた話は借金整理の中でも最悪のパターンです。でも、自分で借金を整理をしたい。弁護士や司法書士に債務整理の費用を払うなんてばからしいという思いを持った人が年がら年中陥っている話でもあるのです。
借金の整理を専門に扱っている業者がいるのには、それなりの理由があるのです。料理は誰でもできます。でも、誰もがおいしい料理を作れれば料理人など必要ありません。債務整理もそれと同じ。
債務整理は法的な知識のほかに、サラ金会社の個別の事情や心理的な側面、交渉の手順など、実践でなければ得られないこともたくさんあります。もちはもち屋といいますが、借金の整理ならば、当所のような専門家に委任されることを強くお勧めいたします。