債務整理コラム
「完済」というフルマラソンも良いけれど
以前、ある友人が突然言い出しました。
「俺、東京マラソン出るんだ」
鼻息も荒くそう告げてきた友人ですが、突然の言葉にこちらも驚きました。
東京マラソンとは言いますが、要はフルマラソンです。
42.195キロ。ざっと新宿から高尾山くらいまでの距離があるのです。
友人はごくごく普通のサラリーマン。病弱ではないものの、鍛えているとは言いがたい友人が突然そう切り出してきたのです。この長大なマラソンを走り切る事ができるでしょうか。
3ヵ月後、再び彼と出会いました。しっかりトレーニングをしていたのでしょう。彼の見た目はやや精悍になり、引き締まった体躯にしっかりと筋肉が乗りつつあるのが窺えました。
この点も含めて税金の延滞はサラ金よりもデメリットが大きくなってしまうのです。そして、税金において最も恐ろしいのがいかなる場合でもそこに免責が発生したりはしないと言うことなのです。つまり、借金が一億あって返済ができなくなった場合、債務整理を行えばその借金は大幅に減額、もしくはゼロにする事が可能です。また手続き期間においては金利もつく事がありません。
「どう? マラソンは」
そう尋ねると彼は話をしてくれました。毎晩、会社を終えて彼は10キロ程度のジョギングをこなしているそうです。土日は25キロ近くも走りこみをしているとのことで、なかなかの意気込みが感じられます。
そうしてマラソンの練習について彼はこんなおもしろい話をしてくれました。
練習を始めてしばらくして、初めて25キロに挑んだそうです。最初の内は同じペースで調子よく走り続ける事ができました。
ところが20キロ付近でパタッと足が動かなくなったそうです。本当に文字通り、急に一歩も動けなくなったそうなのです。足を前に出そうという意識はあるのに、足がまったく動かない。これは本当に突然訪れた事態で彼としてもびっくりしたそうです。
ところが、ウェストポーチに入れておいたチョコレートをひとかけら口に含むや、身体が急に楽になりはじめ、また再び歩き出す事ができるようになったとの事でした。
彼いわく、急に動けなくなったのは、身体に貯めこんだカロリーを使い果たしてしまったためで、こういう事態は登山などでよく起こるものなんだと言う話でした。
結局、彼はその後もトレーニングを続け、ちゃんと東京マラソンを完走したのですが、この話は借金問題にもあてはめる事ができると思います。
【借金問題はフルマラソンではない!】
インターネットの掲示板などで、借金の返済についてお互いに意見を述べ合っているものを目の当たりにすることがあります。
「あと完済まであと○回、○年と○ヶ月。お互いにがんばりましょう」
と言った類のものです。
この書き込みそのものはとても良いものです。完済までコツコツがんばってゆく行為は、たとえば住宅ローン、たとえば学費ローンなど、人生において借金せざるを得ない面できっと励みになる言葉だからです。
そもそも住宅ローンなどは数千万も銀行から借り入れをするものです。そして金利を考えると一般的には、借り入れをした金額の倍額を返済しなければなりません。文字通り、一生をかけてコツコツがんばるものなのです。
奨学金や学費ローンなども同様。五年・十年という長い歳月をかけて、就職した後もがんばって自分で返済をしてゆく。ある意味、大人として人生を歩むための大きな関門だとも言えます。
しかし、それをマラソンにたとえるのはいただけません。なぜなら、マラソンは走れば走った分だけ距離が縮まりますが、借金は繰り延べてしまえば、金利分、どんどんその距離が開いていってしまうからです。
住宅ローンは30年で返済している人がたくさんいます。しかしその金利は約1.5%程度に留まっています。要するに人生の中でさまざまな出来事に遭遇しながらも、だいたい毎月定額で少しずつ返済をしてゆくものだといえます。
この低利であっても実質は倍額を銀行に返済する。1000万円というお金を借りたら、30年をかけて2000万円という長い長いマラソンを走り続ける。これはとても大変なことだといえます。
では、現在のサラ金の上限金利である年利18%はどうでしょうか。たとえフルマラソンを完走しようとしても、道そのものが想像を絶する勢いで伸びてゆくのです。ほんの少し立ち止まったり、もしくは道ばたの小石などにつまづいたりしてしまえば、一瞬で走るべき距離が地平線の彼方まで伸びていってしまいます。
低利の住宅ローンであってもかろうじて完済にこぎつけるかどうなのです。ものすごい勢いで走る距離が伸び続けるサラ金の返済などは到底マラソンとは言えません。
完済までがんばる。その意気込みは立派です。でも、サラ金の返済をマラソンにたとえるのはあまりにも酷なもの。自分の収入の範囲内でがんばって返済を続けられるのであればまだ良いですが、少しでも「苦しいな」と感じたり、もしくは「もうこれじゃ無理だ」と思ったりしたのであれば、借金の整理をするという手段も選択肢の中に入れてみましょう。
人生は一度きりのフルマラソン。返せないお金の問題で苦しむよりは、苦しみそのものをスパッと断ち切って、また新たなマラソンを挑む方が遥かに有意義なものになるはずです。