債務整理コラム
借金問題とは「リアル」そのものである 2
3 ケバケバしい借金談義を真に受けると
ヤミ金をはじめ、借金やお金の問題が原因で警察に相談をする人はたくさんいます。これはとくにヤミ金被害において顕著な傾向があります。
実際、ヤミ金被害に遭った方の中にはごくまれに「○○っていう雑誌に書いてあったけど、ヤミ金は踏み倒しても問題ないんだよね」と言って来る方がいます。こういう方のほとんどはケバケバしいヤミ金談義を読み散らした挙句、それを頭から信じこんでしまっています。
確かにヤミ金は法的には不法原因給付だからお金の返済は必要ありません。しかし、返済する必要がない事と、暴力や脅迫で取立をされる事はまったくの別物。いざとなったら警察署に駆け込もうと考えて、いわゆる「借りパク」を考える人は後を絶ちませんが、その結果、ほぼ100%、がく然とする結果に終わったはずです。
これは必ずしもヤミ金に限りません。お金の貸し借りでは警察はまるで相手にしてくれないのです。「お金を借りてひどい取立をされている」と相談をしたところで、まずほとんどが所轄の警察署の受付係などが話を聞いて終わりになってしまいます。
「それは気の毒ですね」などと相槌を打ってくれるのはまだ良い方で、大抵は「警察は民事不介入です」の一言で終わってしまいます。では、あきらかに犯罪であるヤミ金業者に被害に遭っている場合どうなるか。
少しは話を聞いてくれるかと思われるかもしれませんが、実際には違います。警察はより厳しい態度で「お金を借りたあなたが悪い」というかたちにもってくる事が多いでしょう。少なくとも、被害届を受け入れてくれる可能性は非常に低いものなのは間違いありません。
なぜか。それは「お金の貸し借り」というものは暴力や恐喝と違って、非常にわかりにくいものだからです。たとえばお隣の田中さんに1000円を貸したところ、ある日いきなり警察署から「田中さんからお金を脅し取ろうとしてるんだって? あなた、ヤミ金ですね」と言われたら誰でもびっくりしてしまいます。
シン・イストワール法律事務所では長年に渡り、借金問題の解決に尽力してきました。だからこそわかりますが、お金の貸し借りというものは、はっきり言ってもめるものです。どちらが悪いのか判断がつかない問題には警察は首を突っ込みたがりません。
「ヤミ金だから返さなくていい。警察に相談さえすれば良い」と言う考えの下、借りパクをもくろんだ挙句、警察署からけんもほろろに追い返される。そして本当に恐ろしいのはこの後。この世の中の誰も頼りにできない状況になり、多くの人が見守っている中で、ヤミ金に襟首を掴まれて引きずられてゆくのです。
ケバケバしい話は大抵がルールを破った人の話です。ヤミ金から借入をして借りパクをしようとする人は、警察や社会のルールから逸脱しています。やくざですら、やくざのルールがあります。それを守らなければ、その世界で人として扱われないからです。それがわからずにケバケバしい話を鵜呑みにすると大変なしっぺ返しを喰らいます。コンビニ雑誌やまんがなどで書き散らされているケバケバしい借金体験談などを真に受けるとこういう末路になってしまうのです。
繰り返しますが、借金問題というのは地味なものです。おもしろいものではありません。「仁義なき戦い」のような派手なドンパチではありません。しかし、本当にリアルな恐怖というものは共有できないのです。だからこそ、なぜなら、その帰結する先は自分自身にほかならないためです。
お金の問題、とくに借金の問題などで知識を得たい場合には、なるべくきちんとしたもの。地味ながらも誠実なものを選ぶ事が何よりも大切だと進言いたします。