債務整理コラム
債権回収のゴネにどう向き合うか
サラ金会社の取立といえば、恫喝や脅迫まがいの言動が思いつく人も多いはずです。たとえば一昔前であれば「内臓を売れ」・「マグロ漁船に乗れ」・「慈善事業じゃねえんだ」と言ったお定まりの文句がずらりと並んだことでしょう。
しかし貸金業法の改正により、サラ金会社からの取立は厳しく制限されることになりました。この結果、上記のような威圧的な言動や格好、深夜や早朝の取立などを行うことはもはやできなくなり、もしこれを破ればサラ金会社は大きなペナルティを被ってしまうようになりました。
では、この貸金業法の改正後、サラ金の取立が優しくなったのかと問われれば、けっしてそんなことはないというのが回答になります。取立に慣れている人にとって、たとえ大声を出さなくても、ガラの悪い脅し文句を並べなくても取立でお金を回収することは必ずしも難しいことではないからです。
その理由の一つに「ごね」というものが存在します。この「ごね」という言葉、知っている人は知っていますが、知らない人はまったく知りません。
昔、あるサラ金屋が「ごね」についてこう述べていました。
「ごねる、っていうのは、要するにピザの宅配を無料にさせることだよ。夜中に取立しても文句を言わせないことだよ。何社ものサラ金から借入している借金の返済をうちにだけ最優先させることだよ」
これだけ聞くとよくわからないかもしれませんが、要するに延々と屁理屈を述べ続けて相手をさせることで債務者に折れさせることが「ごね」だといえます。
たとえばサラ金の取立があったとします。「お金がないから数日待ってくれ」というのに対してサラ金はこう答えるかもしれません。
「あなた、最初に返済できる約束でしたよね。それは一体どうなったんですか。返済できないのであれば他に自分の頭で返済できるプランを考えるのが筋道ですよね。じゃあ、まずは自分の頭で考えて、自分で答えてください。それが言えるまで何時間でもこの場で待ちますから」
言葉尻だけで見るとこの取立はそう厳しいように見えないかもしれません。でも実際に目の前にサラ金が立っていたらどうでしょう。向こうは一言も発しませんし、厳しい言葉どころか何も言いません。ただ「自分で考えろ」というだけです。でも、逃げることも許されず、答えが出るまで何十分でもずっとサラ金に凝視されていたら、債務者としては何か言わざるを得なくなります。
そしてもし、張り詰めた空気に耐えられず債務者がこのようなことをいったらどうなるでしょう。
「いや、実は携帯代を支払わなくてはいけないのをすっかり忘れていて」
「携帯代、まだ引き落としされていないのでしたら、その分お金があるってことですね? どうなんですか?」
もしそれが口から出まかせだったら、その場で徹底的にサラ金に追い込まれます。逆にお金があるのであれば「金があるじゃねえか」ということでやはり追いつめられてしまうのです。
ごねというのは屁理屈です。とにかくどんな理由であっても、要するに取立を徹底的に行うというだけのものなのですから、実際のところ、何を言っても最終的には追いつめられてしまいます。
無理を通せば道理が引っ込む、ということわざがありますが、これこそ「ごね」を的確に言い表したものといえるでしょう。「ごね」は一見すると理詰めで債務者を追い込んでいるように見えますが、実際のところ、相手の心を折るために理不尽極まりない文句をひたすら何時間でも並べ続けているだけに過ぎません。
わかりやすい例がクレーマーです。お店などで延々とクレームをつけ続けている人を見たことがあるかもしれませんが、クレーマーというのは、お客という有利な立場を利用して理不尽な難癖をつけ、それによって何らかの利益を被ろうと図るのが目的です。
同じように「ごねる」債権者は、お金を貸した側という有利な立場でもって、債務者に対して理不尽な屁理屈をこね続けて、結果的に自分に有利な返済を図ろうとするのが彼らの目的なのです。
この「ごね」について、もっとわかりやすいものが挙げられます。それは闇金業者による取立です。